【乗船記】太平洋フェリー「いしかり」名古屋~苫小牧1330kmの船旅③ B寝台
長距離フェリーというのは、交通機関であり、また宿泊施設でもあります。
よく豪華寝台列車を「走るホテル」なんて形容したりしますが、走るホテルは船のほうが歴史が長いんです。
太平洋フェリーは、豪華客船などではなく、リーズナブルなカーフェリーです。しかし、内装は決して貧相なものではなく、旅行パンフレットに時々「豪華客船」とか紹介されているほどです。まぁ、接客に力入れててもトラック輸送が要なカーフェリーを豪華客船呼ばわりすることに関して疑問はありますけども。
特徴的ないしかりのエントランスホール。客室階の5~7デッキまで吹き抜けになっていて、展望エレベーターが鎮座している。
ロイヤルスイートルーム、スイートルーム、セミスイートルーム、特等客室(洋室・和室)、1等客室(和洋室・和室・洋室・バリアフリー)、S寝台、B寝台、2等船室と多種多様な客室が用意されているわけでございますが、安価に旅行したい我々が乗るのは、個室になってないS寝台、B寝台、2等船室のどれかでございます。
S寝台は、上下方向が窮屈じゃない1段ベッドで、中にテレビモニタが設置されていて、バリアフリー対応客室も備えるという、開放寝台にしてはグレードの高いものです。
2等船室というのは、いわゆる雑魚寝で、昔ながらの旅情を味わいたい人と、でっきるだけ安ぅーく乗りたいって人にとってはとても良い施設です。残念ながらそんなのを求めてる人は減っていて、新日本海フェリーでは廃止している船もあるんですが、太平洋フェリーでは少ないながら残してくれています。
私が今回選んだのは、B寝台です。こちら、2段ベッドなんですが、昔みたいに梯子を登る必要はありません。
一部屋14床です。女性専用室にはカードキーが付いていますが、それ以外の部屋に鍵はありません。
このように、上段と下段の入り口が互い違いになっていて、開放寝台でありながらそれなりにプライベート感を保てます。上段へ上がるのも梯子ではなく階段なので楽です。最近デビューした船はこれが流行っていて、新日本海フェリーのツーリストAなんかこれと全く同じ構造ですね。
奥の棚は荷物入れではありません。中には救命胴衣が入っています。
毛布と枕、ハンガーが備え付けられています。
寝台の中には小さな網棚と蛍光灯があります。蛍光灯のスイッチの横にはコンセントが1つ付いています。
この寝台の注意点として、シャッターカーテンを完全に降ろしてしまうと、寝台の中が暑くなってしまうというものがあります。少し隙間を空けて止めておくこともできるので、そうしましょう。
とても快適!とは言い難いですが、これで名古屋~苫小牧で6400円(※早割の半額運賃。基本のA期間運賃は12900円※)です。寝台のみの料金ではなくて、名古屋~苫小牧まで移動する金額が6400円ですよ?JRのB寝台と比較しちゃいけないような気もしますけど、比較しちゃうともうJRの寝台列車なんて乗る気失せますね。もう北海道行きの寝台列車絶滅した後ですけど。
いしかりのB寝台区画は5デッキの後方右舷で、レストランの真下です。この下では、船を動かすV型16気筒ディーゼルエンジンが唸っていますが、すごく気になるほどの振動・騒音はありませんでした。この船は客室設備が船体前部に多く配置されているのですが、私は前は嫌いです。揺れが大きいから。多少うるさくても後ろ側のほうがいいです。ちなみにB寝台区画の反対側、左舷はトラックドライバー専用区画になっていて、一般利用客は立ち入ることができません。フェリーの要はトラック航送なのだということをここでも実感します。
右舷なので、北行きの場合は陸と反対側になるため、室内に携帯電話の電波は来ず、左舷の休憩スペースへ行かないと携帯電話は使えませんでした。でもまぁそっちに行けば使えるというのは、外洋フェリーなのに凄いなぁってとこです。凄いのはフェリーじゃなくてdocomoのほうかもしれないですけど。
部屋に設置されているゴミ箱。Moerugomiってお前それ表記もうちょっとなんとかならんかったのかよMoerugomiって…
寝ていると、船がゆっくりと前へ後ろへシーソーのように傾く動きをはじめ、キシキシキシ…と軋む音も聞こえます。さぁ、これ明日はどんなことになるのかなぁ?
【目次】
③寝台 ←イマココ