あにょりもっも

気まぐれ旅行記みたいなものを目指したなにか

【乗船記】太平洋フェリー「いしかり」名古屋~苫小牧1330kmの船旅④ 船体動揺

おはようございます。3月16日の朝になりました。

場所は千葉県沖です。

いい天気ですねぇ~!!!!!いい天気なんですが…

おわかりいただけただろうか。

水平線の位置が上下に動いている。

いや、水平線が動くわけない。船が揺れているのです。

この状況、まさに「天気晴朗なれども波高し」

そして、昨日懸念していた事が…

お風呂が閉鎖されましたぁ…あぁぁ……

 

日本一評価の高いフェリーである太平洋フェリー「いしかり」。現代のフェリーは、どの船も減揺装置を備えており、そんなに揺れないということになっています。

でも今乗ってる船はどったんばったん大騒ぎ揺れています。何故???

 

船酔いや荷崩れを引き起こす船の揺れには大きく2種類あります。船の前後方向を軸とした回転運動、つまり左右に傾く揺れと、船の左右方向を軸とした回転運動、つまり前後に傾く揺れです。それぞれ「ローリング」「ピッチング」と呼ばれています。

大きくなると転覆にも繋がることになるローリングを抑えるというのが減揺の基本です。ここで大活躍するのがフィン・スタビライザーという装置。これは船底の左右に突き出したヒレで、波を予測して動き、ローリングを抑えます。これのおかげで、航行中に船が左右に傾くのを乗客の我々が感じることはほとんどありません。

 一方でピッチングは、そんなハイテクな方法ではなく、もっと原始的かつダイナミックな方法で対処します。「船の全長を、波の長さよりも長くしてしまえばいい。」というものです。このため、このフェリーは全長が制限ギリギリの199.9mになっているんです。しかし…

 

この日、晴れていて、低気圧は太平洋の沖、それなりに遠いところまで行っていました。陸の上に居る時は、こんな日はピクニックにいきたくなる感じだゾ!でしょうけど、海の上だと違ってきます。低気圧の中心付近で風によって作られた荒々しい風浪は、海の上を伝わっていくうちに減衰して、波長の長い「うねり」になります。これが曲者で、200m級の船では「うねり」には勝てません。激しいピッチングに見舞われます。

 ピッチングを抑える画期的な減揺装置は開発されておらず、日本一のフェリーであっても、この揺れと付き合うしかないのです。巨大なタンカーだろうが空母だろうが豪華客船だろうが、揺れるときゃあ揺れるのです。揺れない船などない(現時点では)。まぁ、外洋じゃなくて瀬戸内海のような内海なら、波は穏やかでこんなに大揺れすることはありませんけどね。

 

船がゆっくり頭を空に向けた…と思ったら、頭を水面に突っ込んで大きな飛沫が上がります。これが延々と繰り返されます。

操舵室からの眺めが休憩スペースのモニターに映し出されています。ずっと見てると酔います。

 

いしかり売店に酔い止め薬は置かれていませんが、吐き気を抑えるドリンクならあります。揺れの激しい今日は片方売り切れてましたけど。横に置いてあるのはゲロ袋。

吐きそうな時は我慢せず吐いてスッキリしましょう。各トイレにはご覧のような嘔吐用便器も用意されています。陸ではあまり見かけないこれ、船の上だとわりとよく見かけるものです。

 

この揺れに対して私はどうしたかというと、二度寝を決め込みました。寝不足は船酔いの大敵です。それに、この船の仙台入港予定は1640。まだまだ時間がたっぷりあります。とりあえず揺れが収まるまで寝ているのが一番です。まぁ、結局、揺れは数時間後も収まらなくて、でも、あぁ…ってなってるうちにだんだん身体が揺れに慣れてきて、船酔いはしませんでした。

 

船旅はまだまだ続きますよ~。

【目次】

①乗船~出港

②夕食(一回目)

③寝台

④船体動揺 ←イマココ

⑤茨城~福島沖

⑥仙台寄港

⑦夕食(二回目)

⑧仙台出港

⑨第二夜

⑩青森沖

⑪朝食

⑫苫小牧到着

【乗船記】太平洋フェリー「いしかり」名古屋~苫小牧1330kmの船旅③ B寝台

長距離フェリーというのは、交通機関であり、また宿泊施設でもあります。

よく豪華寝台列車を「走るホテル」なんて形容したりしますが、走るホテルは船のほうが歴史が長いんです。

太平洋フェリーは、豪華客船などではなく、リーズナブルなカーフェリーです。しかし、内装は決して貧相なものではなく、旅行パンフレットに時々「豪華客船」とか紹介されているほどです。まぁ、接客に力入れててもトラック輸送が要なカーフェリーを豪華客船呼ばわりすることに関して疑問はありますけども。

 

特徴的ないしかりのエントランスホール。客室階の5~7デッキまで吹き抜けになっていて、展望エレベーターが鎮座している。

ロイヤルスイートルーム、スイートルーム、セミスイートルーム、特等客室(洋室・和室)、1等客室(和洋室・和室・洋室・バリアフリー)、S寝台、B寝台、2等船室と多種多様な客室が用意されているわけでございますが、安価に旅行したい我々が乗るのは、個室になってないS寝台、B寝台、2等船室のどれかでございます。

S寝台は、上下方向が窮屈じゃない1段ベッドで、中にテレビモニタが設置されていて、バリアフリー対応客室も備えるという、開放寝台にしてはグレードの高いものです。

2等船室というのは、いわゆる雑魚寝で、昔ながらの旅情を味わいたい人と、でっきるだけ安ぅーく乗りたいって人にとってはとても良い施設です。残念ながらそんなのを求めてる人は減っていて、新日本海フェリーでは廃止している船もあるんですが、太平洋フェリーでは少ないながら残してくれています。

私が今回選んだのは、B寝台です。こちら、2段ベッドなんですが、昔みたいに梯子を登る必要はありません。

一部屋14床です。女性専用室にはカードキーが付いていますが、それ以外の部屋に鍵はありません。

このように、上段と下段の入り口が互い違いになっていて、開放寝台でありながらそれなりにプライベート感を保てます。上段へ上がるのも梯子ではなく階段なので楽です。最近デビューした船はこれが流行っていて、新日本海フェリーのツーリストAなんかこれと全く同じ構造ですね。

奥の棚は荷物入れではありません。中には救命胴衣が入っています。

毛布と枕、ハンガーが備え付けられています。

寝台の中には小さな網棚と蛍光灯があります。蛍光灯のスイッチの横にはコンセントが1つ付いています。

 

この寝台の注意点として、シャッターカーテンを完全に降ろしてしまうと、寝台の中が暑くなってしまうというものがあります。少し隙間を空けて止めておくこともできるので、そうしましょう。

 

とても快適!とは言い難いですが、これで名古屋~苫小牧で6400円(※早割の半額運賃。基本のA期間運賃は12900円※)です。寝台のみの料金ではなくて、名古屋~苫小牧まで移動する金額が6400円ですよ?JRのB寝台と比較しちゃいけないような気もしますけど、比較しちゃうともうJRの寝台列車なんて乗る気失せますね。もう北海道行きの寝台列車絶滅した後ですけど。

 

いしかりのB寝台区画は5デッキの後方右舷で、レストランの真下です。この下では、船を動かすV型16気筒ディーゼルエンジンが唸っていますが、すごく気になるほどの振動・騒音はありませんでした。この船は客室設備が船体前部に多く配置されているのですが、私は前は嫌いです。揺れが大きいから。多少うるさくても後ろ側のほうがいいです。ちなみにB寝台区画の反対側、左舷はトラックドライバー専用区画になっていて、一般利用客は立ち入ることができません。フェリーの要はトラック航送なのだということをここでも実感します。

 

右舷なので、北行きの場合は陸と反対側になるため、室内に携帯電話の電波は来ず、左舷の休憩スペースへ行かないと携帯電話は使えませんでした。でもまぁそっちに行けば使えるというのは、外洋フェリーなのに凄いなぁってとこです。凄いのはフェリーじゃなくてdocomoのほうかもしれないですけど。

 

部屋に設置されているゴミ箱。Moerugomiってお前それ表記もうちょっとなんとかならんかったのかよMoerugomiって…

 

寝ていると、船がゆっくりと前へ後ろへシーソーのように傾く動きをはじめ、キシキシキシ…と軋む音も聞こえます。さぁ、これ明日はどんなことになるのかなぁ?

【目次】

①乗船~出港

②夕食(一回目)

③寝台 ←イマココ

④船体動揺

⑤茨城~福島沖

⑥仙台寄港

⑦夕食(二回目)

⑧仙台出港

⑨第二夜

⑩青森沖

⑪朝食

⑫苫小牧到着

【乗船記】太平洋フェリー「いしかり」名古屋~苫小牧1330kmの船旅② 一回目の夕食

船旅の楽しみといえば、やっぱり食事ですよね。

でも、寝不足と疲れと時化への不安から、さっぱり食欲が湧きません。

しかしここで何も食わないというのも後から辛くなります。なにか適当にお腹を満たしておいたほうがいいのです。

 

「いしかり」の船内レストラン「サントリーニ」は、バイキングスタイルで、夕食が2000円、朝・昼食は1000円です。

というわけで、このレストランに

入りません。

言ったじゃん食欲無いって。バイキングとか無理だから今日は。

ご安心ください。太平洋フェリーでは、バイキングレストランの他に、軽食スタンドがあります。いしかりでは「ヨットクラブ」という名前です。

ここの営業時間は名古屋→仙台だと1830~2130、0800~1000、1330~1515です。

 

カレーライス510円。カレーは船メシの基本です。どうしてフェリーで食うカレーとかカップ麺とかって旨いんだろう。

まぁ、きそ・いしかり に関しては、個室以外でのカップ麺飲食はご遠慮くださいと呼びかけられていて、カップ麺自販機も無いので、今回の船旅ではカップ麺は食べてないんですけども。

なおフェリーターミナルの近くにある某おもちゃのテーマパークと違って太平洋フェリーでは飲食物の持ち込みは制限されていません。持参したお弁当を広げている乗客も結構多かったですね。

また、この軽食スタンドに設置されている給茶機は、スタンド営業時間外でも自由に使うことができます。展望デッキで冷えたから温かいお茶を飲みたいだとか、夜中に喉が渇いて仕方ないから冷たい水を飲みたいだとか、そういう時にここに来ればいつでも無料で水・お茶が出てきます。これが非常に便利だった。何度もお世話になりました。

 

このスタンドはレストランより遅くまでやっているので、お酒を注文してここで駄弁っている人達も居ましたが、私は寝不足でそれどころじゃなくなってきたので、今日はもう寝ます。寝不足というのは、空腹よりも更に船酔いに対して危険な状態ですから、さっさと寝るのです。おやすみなさい。らうんじしょー?なにそれ(無関心)

 

【目次】

①乗船~出港

②夕食(一回目) ←イマココ

③寝台

④船体動揺

⑤茨城~福島沖

⑥仙台寄港

⑦夕食(二回目)

⑧仙台出港

⑨第二夜

⑩青森沖

⑪朝食

⑫苫小牧到着

【乗船記】太平洋フェリー「いしかり」名古屋〜苫小牧1330kmの船旅① 乗船~出港

本州〜北海道の移動は、道路は存在しないので、新幹線に乗るか、飛行機に乗るか、船に乗るしかありません。

今回は往路は飛行機でしたが、復路は船を選びました。というか、船に乗りたいから旅行先を名古屋にした、と言ったほうが正しいような気もしてくる、太平洋フェリー乗船は今回の旅の最後にして最大のイベントなのです。

 

太平洋フェリーは、名鉄系のフェリー会社で、通常時、3隻の船で苫小牧~仙台を毎日、仙台~名古屋は隔日運航しています。船旅専門雑誌「クルーズ」の発表する「フェリー・オブ・ザ・イヤー」第一位を第一回からずーーっと受賞し続けている評価の高いフェリーなのであります。

今回乗る船は、太平洋フェリー3隻のうち最も新しい、6年前に就航した「いしかり」。

(この写真はセントレアから撮影した「いしかり」)

総トン数15762トン、全長199.9m、最大速力26.5ノット、旅客定員777名、乗用車搭載数100台。

就航以降ずっとフェリー・オブ・ザ・イヤー1位をキープしている、いわば現在日本一のフェリーです。

こんな素晴らしい船に乗れるなんて、テンションが上がるところですよね普通。しかし船を前にして私のテンションはかなり低い。何故なのか。

 

 

野跡駅前から市バスに乗ってフェリー埠頭に向かいます。

このルートで乗船するフェリーの徒歩客は私を含めて6人ほど。ツアーのバスや、自家用車で乗り込む客がほとんどで、名古屋駅のバスターミナルからフェリーターミナルまで直通のバスもあるので、このルートはマイナーのようです。

 

港に着いたら早速乗船手続きです。ネット予約で使ったクレジットカードを提示します。私は2ヶ月前に早割で予約していたので、B寝台が正規運賃の半額の6400円。6400円ですよ?名古屋から苫小牧まで2泊3日で6400円。安すぎじゃね?

すごぉくお得に優雅な船旅を楽しめる♪と心を弾ませて名古屋まで来たはずだったんですが、さっきからずっと風が強いし、太平洋上には低気圧があるし、なんだかちょっと不安になってきました。

そして案の定、窓口のお姉さんが申し訳なさそうな顔して「本日、船が揺れることがございます…」とか宣告をしてくる。あぁ、これは楽しいことになりそうだぞ(顔面蒼白)。

名古屋港に佇むいしかり。ここから苫小牧まで40時間ほどお世話になります。

もう乗船は開始していたので、とにかく乗ります。

フェリーと同じ塗装が施されたボーディングブリッジ。名古屋港を発着するフェリーは現在太平洋フェリーのみです。

 

船上から見た名港西大橋

車が誘導に従って次々と船に乗り込んできます。

 

さて、時化が予想される時、船に乗ったらまず何をすべきか。

ずばり、風呂です。沖に出て船の揺れが激しくなると、安全のため浴場が閉鎖されることがあるのです。閉鎖されなくても、船の揺れに合わせてお湯があっちへこっちへ動き続ける浴槽なんて、あずましくありません*1

太平洋フェリーの大浴場は、基本的に乗船から入港30分前までいつでも利用できます。料金はかかりません。なお前述の通り、船の揺れが激しい場合は閉鎖となります。

コイン返却式の貴重品ロッカー、ドライヤー、浴室内にはシャンプー・ボディーソープが備え付けられていて、船内でもそんなに狭さは感じない良い浴場です。なお、太平洋フェリーに限った話ではありませんが、特等や1等などの客室を利用しない寝台や雑魚寝の客には貸しタオルがあたりません。タオルは持参しましょう。

 

風呂に入り、さっぱりしたところで、時刻は19時。出港時刻を迎えました。

真っ暗になった名古屋港で、船は岸壁をゆっくり離れ、180度向きを変えて、ゆっくりと前へ進みはじめます。

名港西大橋をくぐりました!!!陸から眺めたり、上を通った時はすごく高く感じましたが、船で下を通過する時は「えっ!?ぶつかりそう!?」って低く思える不思議。いや、このフェリーがデカいんだわな。

 

夜空に煙を上げ名古屋港を出ていくいしかり

 

長い船旅なので、記事をいくつかに分割しようと思います。何記事になるかは未定です。それでは今回はここまで。よーそろー。

 

【追記】

本乗船記は、12記事に分割されました。読みたいとこから読んでって結構です。

①乗船~出港 ←イマココ

②夕食(一回目)

③寝台

④船体動揺

⑤茨城~福島沖

⑥仙台寄港

⑦夕食(二回目)

⑧仙台出港

⑨第二夜

⑩青森沖

⑪朝食

⑫苫小牧到着

*1:「あずましい」は北海道の方言で、気分が落ち着いて心地良いという意味の形容詞

あおなみ線

あおなみ線」こと名古屋臨海高速鉄道西名古屋港線は、東海道本線の貨物支線「西臨港貨物線」を全面改良して貨客両用路線にしたもので、名古屋~金城ふ頭の約15kmを結びます。

あおなみ線は全駅にホームドアが設置されています。

名古屋駅あおなみ線ホームは、新幹線ホームに近い位置にあります。

(この写真は初日の新幹線ホームからの景色。ホームドアと波型の屋根がついたこれが、あおなみ線ホーム)

 

線路はあおなみ線の電車が運行しない反対方向にも伸びていて、これを辿っていくと枇杷島駅の城北線の線路に繋がっています。あおなみ線はそもそもは貨物線、城北線は貨物列車は走っていませんが貨物線として計画された線ということで、こんな形になっているのでしょう。

 

散々変わった電車に乗りまくったせいで、あおなみ線が本当に平凡な電車に感じる。ちょっと変わった点をあえて挙げるとするならば、途中駅に止まった時にすぐ隣に貨物駅があって貨車がガシャン!!とかギギギギとか言ってるのが間近で聞こえるってことくらい。

それから、「名古屋臨海高速鉄道」や「西名古屋港線」といった案内表記は全くと言っていいほど見られず、「あおなみ線」とだけ案内されているのが印象的でした。

終点の一つ手前、野跡駅で下車。

金城ふ頭方面へと、まだ新しい高架橋が、延々と伸びている様子がわかります。 

奥に、とても高い位置に架かる斜張橋が見えますが、これは伊勢湾岸自動車道の名港中央大橋です。名港東大橋・名港西大橋と合わせて3つで「名港トリトン」と呼ばれています。実は昼にしれっとここの上を高速バスで通過してました。

(この写真は名港西大橋

 

どうせホームドア付き鉄道だし良い写真なんて撮れないだろうと思っていたら、野跡のホーム端なかなか良スポットでした。

 

さて、これにて名古屋とその近辺の変わった鉄道を巡る旅は終了です。お疲れ様でした。

次回からは、ここから北海道までどうやって帰ってきたのか…をお伝えしていきます。ちなみに、もう鉄道は使いません。飛行機にも乗りません。ということは、アレしかないですね?

三重県北のナローゲージ その2 三岐鉄道北勢線

四日市あすなろう鉄道とお別れして、近鉄四日市駅から近鉄に乗って桑名へ向かいます。

近鉄のなんかこう雑然とした雰囲気、すき。

反転フラップ式案内表示機!!!反転フラップ式案内表示機!!!!!パタパタパタッパタッ!!

そんなわけで、急行に乗って桑名まで来ました。

桑名はパタパタしませんつまんねーの

名駅はJRと近鉄の改札が合同になっていて、ICカードを使っていて乗り換える場合は跨線橋上のこんな変な改札にタッチしなければいけません。私は乗り換えではなく下車なのでこれには触れずに出口に行きました。

 

写真手前がJR、奥が近鉄です。

 

さて、今回乗りたい三岐鉄道北勢線は、「西桑名」という駅から発着しているんですが、どこでしょうか…

あっ、あれだわ。

バスターミナルとJR線路の隙間にひっそりと佇むちょっと怪しい電車。

この独特な顔。色は変わっていますが、その昔、某画像掲示板でコラージュ素材として人気を集めた「奴」こと270系電車です。

三岐鉄道北勢線も、四日市あすなろう鉄道と同じく762mm軌間です。そしてこちらも以前は近鉄の路線でしたが、近鉄廃線の意向を示し、沿線自治体が近隣で三岐線を営む三岐鉄道に助けを求め、三岐鉄道が運行を継承しました。

四日市の電車と違い顔が平べったいので、オモチャ感が更に強くなっているのがわかります。

車内はこんな感じ。狭い。超狭い。あすなろうのほうはクロスシートですが、北勢線ロングシート。なので狭さが引き立ちます。

蓮華寺駅で下車したのん。駅は綺麗にリニューアルされており、駐車場や駐輪場もしっかり整備されています。三岐鉄道への移管以降、このように鉄道施設の全面的な改良が続けられ、利用客は近鉄時代よりも増えているようです。

あすなろうには無い自動改札機だって北勢線にはちゃんとありますよ。

自動改札機や駅名標なども電車と同じイメージカラーになっていて、なんだか楽しげです。

 

帰りは西桑名のひとつ手前の馬道で降りて、歩きます。

こういう、駅を降りるとすぐ踏切!みたいな駅、小さな鉄道だとほんと味があって良い。

踏切を渡ると、改めて線路の狭さを実感します。

近鉄・JRを跨ぐオーバークロス。流石は軽便鉄道、ちょっと不安になるくらい橋が薄い。

手前が近鉄、奥がJRです。同じ電圧でも架線柱がこんなにも違うんですね。

そして、馬道~西桑名を歩いた一番の目的である踏切にやってきました。

この踏切、手前から近鉄・JR・北勢線となっていて、つまり、線路の幅が1435mm、1067mm、762mmと三種類揃うわけですよ。同じ踏切に三種類のゲージが集うなんて全国探してもここだけです。それじゃ渡りますよ~。

線路幅ひろ~い!!(近鉄1435mm)

普通だね。普通だ。(JR1067mm)

せまーい!!!!(北勢線762mm)

 

いかがでしたか?渡りたーい!!って思いました?それとも線路撮って何してんだこの人…って思いました?どっちでもいいんですよ。

 

なお、この踏切、JRと北勢線は連動して鳴りますが、近鉄のほうは連動していません。間に取り残されないようにね!

 

名駅に戻ってきました。さぁ鉄道旅も終わりが近付いてまいりました。日も傾いてきたし、急いで名古屋に戻りましょう。

これに乗って。

いや、疲れてきたし時間もあんまないしここはパーッと特急キメるかーっつって適当に券買ったらまさかの伊勢志摩ライナー。こんな形で乗ることになるとは。快適だけど桑名~名古屋じゃ物足りないっすね。

 

三重県北のナローゲージ2鉄道、本当に面白かったです。

次回は、名古屋鉄道旅の最終回「あおなみ線」です。

三重県北のナローゲージ その1 四日市あすなろう鉄道

セントレアから高速バスに揺られること1時間半。やってきたのは…

四日市!!!

 

正面に見えている近鉄の駅ではなく、画面右側の高架下にひっそり構えている「あすなろう四日市駅」とかいう駅に入りますよ。

駅構内の様子です。

レールの幅が通常より狭いということにお気付きでしょうか。こちらの鉄道のレール幅は762mmしかありません。JR在来線や名鉄などは1067mmで、新幹線や近鉄などは1435mmなので、相当狭いです。狭すぎてATS地上子がレール間ではなく外に飛び出して設置されているほどです。

 

かつて全国各地に存在した762mm軌間軽便鉄道でしたが、輸送力の小ささ故に通常の鉄道よりも自動車に負けやすく、日本国内に現存する普通鉄道路線は黒部渓谷鉄道、三岐鉄道北勢線、そしてこのあすなろう鉄道の3つのみです。

ホームの端には信号機が。

速度制限標識は、まるで自動車用のようなものが使われています。

 

電車がやってきました。レールが狭いので車体も小さく、運転台は中央です。

 

新しい電車のように見えますが、床下からはしっかりと吊り掛け駆動特有の唸りが聞こえます。この電車はリニューアル工事を受けており、車内は新車の香りがしました。

日永駅で下車しました。

この狭軌鉄道は、長らく近鉄の路線として歩んできたのですが、敷かれた当初は低予算でできた狭軌鉄道も今となっては特殊になってしまい、採算性がよろしくないとして近鉄はバス転換を提案していました。しかし四日市市は鉄道存続を希望し、四日市市が線路を保有、運行は新たに発足した四日市あすなろう鉄道という会社が行うことになりました。

 

次の電車まで時間があるのでちょっと駅周辺を散歩です。

堤防の上の狭い道と、狭い線路が交差する踏切。良い雰囲気です。

木製の枕木に犬釘で留めるという伝統的な線路。架線柱の門が異様に狭く、この鉄道の特殊さを実感します。

こちらは大規模リニューアル工事を受けていない電車。1両ずつ色が違って面白いです。

先程乗った電車が折り返して戻ってきました。

四日市あすなろう鉄道は、四日市駅を起点に内部へ向かう内部線と、西日野へ向かう八王子線の2路線からなり、ここ日永は両者の分岐駅です。先程の新車みたいな電車は八王子線運用に入っていました。

 

駅構内を、猫が横断していきました。長閑な光景です。

帰りはこの電車に乗りました。

座席はまるでバスですね。

ちなみにリニューアルを受けた電車の座席は固定クロスシートのままではありますが背もたれが大きくなりバスっぽさを払拭しています。

これにて四日市あすなろう鉄道の旅はおしまいです。本当はもうちょっと乗りたかったんだけどね、時間が無いんでね、はやく次いかないと…

次回は三重県ナローゲージその2をお送りします。