あにょりもっも

気まぐれ旅行記みたいなものを目指したなにか

【考察】新函館北斗駅は不便なのか?

あと2ヶ月で開業2週年を迎える北海道新幹線。その北海道新幹線の暫定終着駅となっている新函館北斗駅は、これまで様々な批判に曝されてきました。

しかし、数ある批判の中には、的外れと思えるものも多く、本当は不便な駅ではないのでは?実はとても便利な駅なのでは?という感想を持つに至り、この場でちょっとその辺を考えてみることにしたのです。

 

飛行機勝てない?

新幹線の利便性を語る時に常について回るのが、強力なライバルである飛行機との比較です。そして、新幹線は一般的に、市街地のど真ん中まで乗り入れるという手法によって飛行機の猛攻を抑えることが多いため、市街地から見て大幅に離れている、函館空港よりも離れたところにある新函館北斗駅の利便性が疑問視されるのは当然の流れと言えましょう。

しかし、単に地図に定規を当てただけでは本当の利便性など見えてきません。例えば、所要時間的には明らかに飛行機に軍配が上がる東京〜函館で見ても、羽田を出発する函館行きの最終便が1730発だったり(最終の新函館北斗行きはやぶさが東京駅を出発するのは1920)するので一概に飛行機のほうが便利とは言えないし、東北〜函館を見るとそもそも航空便が無かったりするのです。

それから、値段だけを見て「成田〜函館にLCC(バニラエア)が就航したから運賃クソ高い北海道新幹線は誰も乗らなくなる」なーんて言ってる人も結構見ましたけど、控えめに言ってアホですよね。一日たった一便のA320がどうやったら新幹線を殺すんだよ。そもそも「狭苦しくても不便なとこから飛んでもなんでも良いからとにかく安くしろ」というニーズに応えているLCCと、「多少は値が張っても良いから快適に移動したい」という人を拾っている新幹線とでは、あまり客層も被らないのでわりとどうでもいいし、なんなら「往復どちらか片方は新幹線にしてもう片方は飛行機にしよう」なんていう新たな流れも生んだのではないかと私は見ています。

 

在来線時代より不便になった?

北海道新幹線開業前、青函トンネルには、新青森〜青森〜函館を結ぶ特急列車「スーパー白鳥」が走っていました。新函館北斗批判派が言うには、「乗り換え無しで移動できた青森〜函館が、青森〜新青森新函館北斗〜函館と2回も乗り換える羽目になり、運賃が大幅に上がったのに所要時間短縮になっておらずクソ」ということらしいのですが、よーく考えてみてください。そもそも「青森駅から函館駅」って利用する人がそんな多いのか?って話ですよ。青森駅函館駅も、連絡船との接続を考えて造られたものなので海辺にあり、現在の市街地の中心からはズレた場所になっています。まぁ確かに住宅地の中にある新青森駅と違って、新函館北斗駅はかなりの町外れですが、自家用車での送り迎えが一般的なあの地域においては、特に大きな問題とは見做されていないように見受けられます。

運賃についても、えきねっとから予約することで大幅な割引が効くため、「運賃が大幅に上がったのに所要時間は変わらん」なんてのは嘘で、「運賃はそこまで大きく上がらず所要時間は大幅に短縮された」というのが実際に乗った感想です。見方を変えるだけでこんなにも変わるのかって感じですねこれ。

 

はこだてライナークソ?

新函館北斗駅函館駅を結ぶ連絡列車である「はこだてライナー」。札幌圏でも広く活躍している733系通勤電車3両または6両で運転されています。

「新幹線に長い時間揺られてきて、北の大地に降りて旅情を味わおうと思ったら急に通勤電車に詰め込まれるなんて、本当にクソ」というのが、大都会で満員電車に詰め込まれすぎてロングシートアレルギーを発症してしまった可哀想な人の言い分です。

先述したように、函館やその近辺の住民の多くは、新函館北斗駅に自家用車で向かいます。そのため、はこだてライナーがどんな車両だろうが知ったこっちゃありません。

JRを利用する駅周辺の住民も、はこだてライナーができる以前はキハ40という国鉄の匂いがムンムンする気動車1両か2両の列車を使うしかなかったため、ピカピカで冷房もある通勤電車を大歓迎したそうです。

というか、乗り鉄の方々は知らないでしょうけど、北海道を観光するにはレンタカーを借りたほうが観光名所を巡れて楽しいので、新函館北斗駅を降りると駅前に並ぶレンタカー屋街へと吸い込まれていく観光客も結構多いんですよ。旅行ツアー参加者はツアーのバスに吸い込まれていくし、函館には目もくれず洞爺や登別に向かっちゃう人はそのまま札幌行きの特急列車に乗るし、はこだてライナーの利用客って実はそんなに多くないんですよ。新幹線10両編成の乗客全員が3両の通勤電車に殺到する様を想像していた方はご安心ください。そんな光景は基本的には無いです。それでもロングシート嫌だっていうなら、新幹線を新函館北斗のひとつ手前の木古内で降りて、道南いさりび鉄道に乗ってあげてください。

そういえば、はこだてライナーSuicaが使えないことを嘆く利権おじさんも時々いますが、「いや、新幹線やぞ?函館駅までの乗車券をあらかじめ買ってこいや。」としか思いましぇん。ちなみに今回の話とは直接関係ありませんが、函館市電ではSuicaが使えるようになってます。

 

 

 

 

確かに、新函館北斗駅は、札幌延伸のことを優先させた立地で、函館にとっては理想とはだいぶ違った駅かもしれません。しかし、車社会の北海道で、「郊外型新幹線ターミナル」というジャンルを打ち立てた功績は賞賛に値すると思います。これから先、新幹線が札幌まで伸びてからも、函館・道南の玄関口として、新函館北斗駅は賑わってほしいものです。

でも、最後にひとつだけ言わせて。

新函館北斗って駅名、長いよ!新函館でも北斗函館でもどっちでも良かった、でもこの2つを混ぜて誰も得しない駅名にしたのはやっぱり間違ってるよ!!