あにょりもっも

気まぐれ旅行記みたいなものを目指したなにか

寝台特急サンライズ瀬戸 時代に順応した日本唯一の夜汽車

さて、世の中が大変なことになってきましたが、まだそこまで大変なことになっていなかった3月の旅の様子を引き続き綴ってまいりますのでよろしくお願いします。

f:id:oberoffer:20200419005636j:plain

さてさて、今回こうして旅をしている一番の目的は、サンライズ瀬戸号に乗ることです。サンライズ瀬戸・出雲は今や、かつて全国を網羅していた寝台特急の日本唯一の生き残り。北斗星はまなすの廃止以降は夜行列車とは無縁の生活を送ってきました*1が、やっぱりもう一度夜行列車の旅をしたい。それもボロボロな国鉄型の客車ではなく、JR型の快適な電車の個室で一夜を過ごすというのは是非やってみたい。ってずっと思ってたわけですよ。そして今回、乗車前日に某駅の窓口に「すいあせぇん、明日のサンライズ瀬戸高松行きシングル空きありますかね〜」ってフラフラ行ってみたところ「ありますねぇ!」ということで無事に今回の旅の敢行が決定したわけです*2

f:id:oberoffer:20200419013426j:plain

f:id:oberoffer:20200419010102j:plain

サンライズ瀬戸号と出雲号はどちらも7両編成。東京〜岡山では両列車が併結した14両編成で走り、岡山で分割された後は瀬戸号は高松、出雲号は出雲市へと向かいます。

私が乗ったのは瀬戸号のほう。JR東日本〜東海〜西日本〜四国とJR4社に跨がる列車は当然これが唯一の存在です。

f:id:oberoffer:20200419010417j:plain

サンライズに使用されている車両はJR西日本285系電車。かつて寝台特急といえば電気機関車に牽かれる客車列車というスタイルが一般的だった*3のですが、こいつは自身に動力を持ち軽快なスピードで走ることができる電車なのです。尤も、私が乗った2号車は付随車だったので、モーター音に魘されることはありませんでした。

f:id:oberoffer:20200419011031j:plain

こちらが今回乗ったB寝台シングル。B寝台個室にはもっと狭い「ソロ」もありますが、ソロが寝台料金6600円に対してシングルは7700円。1100円の差で居住性はかなり違いそうです。単に「シングル」と言っても「上階」「下階」そして「平屋」の3種類があり、それぞれ違った楽しみ方ができそうなんですが、私が選んだ…わけではなく完全に切符買った駅の駅員任せにしてたら取らさっていた部屋は「平屋」。シングルのある号車はダブルデッカーになっているのですが、車端部の台車の上は平屋にせざるを得ないので平屋になっていて、ここに部屋があります。

f:id:oberoffer:20200419011311j:plain
上下に部屋がないので、天井が高くて窓も湾曲していない、とても快適な部屋です。これが7700円はお得ですよ*4

台車の上なので音と揺れは大きめなものの、付随車なので電車特有のミュオォォォンという音も響いてこないですし。

f:id:oberoffer:20200419012835j:plain通路は車両の中央部に通っていて、両サイドに部屋が並ぶスタイル。

 

f:id:oberoffer:20200419013833j:plain

サンライズにはシャワールームがあるんですが、A寝台シングルデラックスの客以外は予約ができず、当日車内のシャワーカード争奪戦に参加しなければいけません。私は負けました。始めっからあまり期待はしていませんでしたが、私の目の前の人が最後の一枚を出しやがったのでちょっとこれ次回は勝ち取りてえっすわこれ。

f:id:oberoffer:20200419014624j:plain

車内自販機のラインナップはこちら。はまなすの微妙だったやつに比べるとサイズは小さいもののおとなしい印象。なお、この列車にはワゴン販売などは無く、この飲料の自販機しかないです。食べ物は無理だとしても、歯ブラシとかタオルくらい売っててくれればいいのになぁとか思った。寝間着と紙コップくらいしかアメニティ用意されていないので、ちゃんと必要なものを持って乗りましょう。

 

乗ってすぐにJR東日本の車掌さんが検札に来たので、すぐに寝間着に着替えて缶ビールを開けて、流れ行く夜景を肴にグビグビ。いや、このためにこの列車に乗ったといっても過言ではないですね。もう優勝。完全に個室なので、電車の中でダラダラすることも、電気を消して夜景や星空を眺めることもできるんです。

f:id:oberoffer:20200419015841j:plainそれから、室内に2Aコンセントが用意されているのがとてもありがたいです。

 

夜の静岡駅や浜松駅に留置されている新幹線電車を眺め、名古屋駅をゆっくりと通過し、いつの間にか眠り、ふと目を覚ますと関ヶ原の星空が広がっていて、また眠ってふと目を覚ますとライトアップが消えた明石海峡大橋が見えて…てな具合で熟睡できないままいつのまにか列車は早朝の岡山県へと入っていました。

f:id:oberoffer:20200419021457j:plain
この日本の原風景って感じの景色よ。やはり夜汽車で迎える朝ってのは眠くても清々しいものです。

f:id:oberoffer:20200419021929j:plainサンライズ車内で拝むサンライズ。夜行列車の名前として「月光」とか「彗星」とか「銀河」みたいに夜空に輝くものじゃなくあえて「日の出」をつけるセンス本当に素晴らしいと思うの。

f:id:oberoffer:20200419022903j:plain列車は朝の岡山駅に到着。ここで後ろの出雲号を切り離して、ここからは瀬戸号単独で高松を目指します*5。ホーム上には売店がありますが、停車時間はほんの数分なのでこれに頼らないよう準備しておくのが賢明でしょう。

f:id:oberoffer:20200419025207j:plain

f:id:oberoffer:20200419030910j:plain

f:id:oberoffer:20200419031053j:plain瀬戸大橋をゴウンゴウン渡る。サンライズ瀬戸の旅のクライマックスですね。この景色を大きな窓を完全に独り占めにして眺めることができる、とても贅沢な感じがします。

f:id:oberoffer:20200419032501j:plain四国上陸!昔ばなしの挿絵に出てきそうな形の山を見ると「ああ香川だな」ってなる。

 

f:id:oberoffer:20200419032959j:plainそんなわけで、なんのトラブルもなく定刻で朝の高松駅に滑り込んだサンライズ瀬戸号。短い長旅があっけなく終わってしまいました。

 

サンライズは、なんというか快適な個室を備えた軽快に走る電車でありながら、夜汽車の懐かしさもしっかりと感じることが出来る大変すばらしい列車だというのを感じましたね。北斗星に乗った時は正直言って「こんな列車にこんな料金払う価値ないわー」とか思ってましたが、サンライズはこの料金を払う価値は充分にあります。285系電車も登場から既に20年以上経過した新型とは言えない車両ですが、数年前にリニューアル工事を受けており古さは全く感じない現代でもしっかり戦える設備を持っています。

次にいつ乗れるのかわからない情勢ではありますが、絶対にもう一度乗りたい。いや今度は出雲に乗りたい。

*1:まぁ北斗星に乗ったのなんて一度だけで、ほぼ「はまなす」にしか乗っていなかったわけだが

*2:サンライズも他のJRの列車同様、予約は乗車日1ヶ月前午前10時から出来るが、この俗に10時打ちなどと呼ばれる争奪戦に参加するよりも、キャンセルによる空きを待って直前に切符を取るという手法がサンライズオタクの間では一般的になっているらしいのでそれに倣った次第

*3:583系電車っていうのも居たけどね

*4:JRの寝台料金がそもそも高ぇんだよというのは否めない

*5:切り離し準備のため岡山駅到着よりしばらく手前から車内の通り抜けができなくなるぞ