【乗船記】太平洋フェリー「いしかり」名古屋~苫小牧1330kmの船旅⑥ 仙台寄港
名古屋を出港してから21時間が経ちました。もう目の前に仙台が迫っています。
これから仙台港に寄港するのですが、名古屋から苫小牧まで通して乗船する場合、船内に留まるか一時下船かを選ぶことができます。ただし、一時下船の場合は所定の手続きがあるので、早めに済ませておいてください。
そんなに難しい手続きではなく、同意書にサインして一時上陸・再乗船証を受け取るだけです。同意書の内容としては「津波警報とか出たらお前ら放ったらかして出港すっからよろしく」とか「乗船時刻に遅れたら置いていくわよ!そうなったらもう知らないわよ!」とか「車は降ろせないぜ。すまねぇ」とかそんな感じです。
この一時下船、東日本大震災以降しばらくの間は津波を警戒して下船不可とされていましたが、2015年3月に再開されました。
船内に留まる場合は、停泊中に船内清掃が行われているので、清掃の邪魔をしないようおとなしくしていましょう。
まもなく着岸です。係留するためのロープ(もやい綱)が岸に投げられるんですが、太平洋フェリーでは「もやい銃」を使って発射します。
スパァン!と大きな音がして綱が飛んでいきます。
岸壁では受け取った綱をトレーラーヘッドに引っ掛けて、これで係船柱まで引っ張っていき、係船柱に綱が引っ掛けられると船の巻取り機で長さを調節して係留完了です。
予定より10分ほど早い1630、仙台港フェリー埠頭に着岸しました。
仙台で船旅を終えてしまう人達と一緒に、我々も降ります。再乗船時刻には絶対に遅刻できないので、あまり遠くへは行けません。
歩いて20分ほどの所にイオンがあるので、そこまで行ってみましょう。ここは仙台一時下船の定番スポットらしく、私と同じく一時下船した数名が同じ道を歩いていました。
イオン多賀城店です。なんの変哲もないジャスコ…に見えますが、ここも6年前の大津波で甚大な被害を受けた地域です。
店内にもひっそりと当時の津波到達高さが記載されていたりします。
イオン駐車場からでも、この通り「いしかり」の白い勇姿がはっきり見えます。こうして見ると大きいですねこの船。
この一体に津波が押し寄せたという様子は、6年が経過したこの風景からは想像もできません…
買い物が済んだら、さっさと船に帰ります。「船に帰ります」ってちょっと斬新ですね。豪華客船の旅でもしてるような気分だ。6400円で乗ってるのに。
乗船開始は1815から。
フェリーターミナルで、仙台から乗る乗客と一緒に待ちます。
乗船待合室に設置されている、カップ麺と冷食の自販機…ってー!お前ら陸に設置されてんのかよ!船の上に設置してくれよぉ!
でも今回はこいつらは利用しませんでした。だって今日まだろくなメシ食ってないんだもん、今日の夕飯くらいレストランでディナー食わせろ。
18:15、再乗船しました。ただいま。
船の上からフェリーターミナルを見渡すと、ぞわーっとトレーラーが並んでいるのが見えました。やっぱりこの船は豪華客船ではなく豪“貨”客船なんだなぁとか思いました。
【目次】
⑥仙台寄港 ←イマココ
【乗船記】太平洋フェリー「いしかり」名古屋~苫小牧1330kmの船旅⑤ 茨城~福島沖
太平洋フェリー「いしかり」は揺れながらも順調に茨城県沖を航行しています。
身体も揺れに慣れてきて、気持ち良くなってきました。
ただ、デッキの上は風がものすごく強いです。どのくらい強いかというと、セントレアのスカイデッキ並みです。油断していると手回り品が飛んでいきますよ。
展望デッキは左右とも7デッキ船体後部~中部にかけて広々としています。
ただ、後部から前に進もうとすると凄まじい風に押されて大変なので、外部左舷の階段を降りて6デッキ左舷の扉から船内に入るのが良いです。
階段降りる時が大変だけど。
太平洋の沿岸は、たくさんの船が航行しています。こうした船との出会いもフェリー旅の魅力です。
1145頃、遠くに見えたのは、我々が名古屋を出た頃に苫小牧を出発した、大洗へ向かう商船三井フェリー「さんふらわあ ふらの」です。この船にも一度乗ったことがあるのですが、その時も今回みたいに大荒れだったっけか…「へすていあ」という名前で東日本フェリーの時代から活躍してきたこの船も、今年の5月で新造船に置き換えられる予定です。
ちょっとお腹が空いてきましたが、まだ本調子とは言えない状態です。ここでバイキングに行く気は起きません。でも軽食スタンドの営業再開は1330、売店は1430ということで、困り果てた私はとりあえず自販機でヤクルト*1を買って、予め用意していたグミをもっちゃもっちゃして凌ぎました。うぅ…
自販機コーナーには清涼飲料、ビール、アイスクリームの各種自販機があります。
船の上でもぼったくり自販機ではなく、ほぼ通常価格です。ありがたいことです。
船の上によくある、冷凍食品軽食やカップラーメンの自販機は残念ながらありません。あれ好きなんだけどなぁ。
13時頃、ようやく展望大浴場の営業が再開されました。揺れは小さくなった…らしいんですがまだ結構揺れてますよぉこれ。お風呂に入る際は特に足元に注意が必要です。
展望通路のソファーのところの壁に、こんなものが飾られていました。
「いしかり」は、2010年8月26日に進水、2011年3月8日に太平洋フェリーに引き渡されました。就航予定日を翌々日に控えた3月11日に東京で開かれていた内覧会の直後に東日本大震災が発生。就航日程は3月25日に延期、就航後もしばらくは旅客営業はせず、支援物資や自衛隊車輌・隊員を黙々と輸送し続けたそうです。
日本一のフェリーを謳ういしかりがデビュー時に大注目されていなかったのは、こういうことだったんですね。
そして、いつの間にか船は福島沖まで進んだようです。
次に見えてくるのが、東京電力の福島第二原子力発電所。そして、更に進むと…
ああ、見えてきた…6年前に連日ニュースで見ていたあの発電所が…
地震・津波によってメルトダウン・水素爆発を起こしたあの事故から6年が経過した福島第一原子力発電所の現在の様子です。難しい廃炉作業は着々と進み、現在の外見からは事故の凄まじさは感じられなくなっています。しかし、避難指示区域が大幅に縮小された現在でも、原発のすぐ近くの地域に住民が帰ることはできない状況が続いています。
爆発した1~4号機からちょっと離れたところにある、無事だった5・6号機。こちらも再稼働せず廃止となりました。奥の方へと続く送電線でここから首都圏へと電気が送られることは、もうありません…
さてさて、時刻はまもなく14時です。
なにやら、軽食スタンド「ヨットクラブ」が慌ただしくなっています。何かを待つ列も出来ています。
このフェリーの恒例イベント、焼きたてパンの販売です。
うどんやカレーライス、コーヒーや紅茶、ビールなどを出しているカウンターが、この時だけ即席のパン屋さんになります。
フレンチトーストやシュークリームなども並んでいましたが、私は焼きたてパンの王道メロンパンを購入。
外はサクサク、中はふんわり。良いメロンパンです。
更にイベントは続きます。まもなく我々とは逆方向、苫小牧から名古屋に向けて旅している「いしかり」の姉船「きそ」とすれ違うのです。
大型フェリー同士が至近距離でお互いに汽笛を鳴らし合い反航するこれはこの航路で一番の見逃せないイベントと言えましょう。
なお、仙台〜苫小牧の中間地点でも「きたかみ」とすれ違うのですが、こちらは真夜中のため汽笛を鳴らさず、船内放送もありません。
前方から、我々の乗る「いしかり」と同じような形の船がこちらに向かってくるのが見えました。展望デッキは普通は左右と後方しか見えないんですが、今日は船が揺れているおかげで船首が下がった時に前まで見えます。どんだけ揺れてんだ。風も強く、油断すると振り落とされそうな感覚です。
時刻は1440。優美な船体をゆっくり上に向けたり下に向けたりしながら、いしかりとすれ違う「きそ」。「きそ」が就航したのは2005年で、今乗っている「いしかり」の基本設計は「きそ」を踏襲しているため、船型は似ています。でも「いしかり」は各種改良が実施されているので全く同型というわけではないです。外観上の目立つ違いは、ファンネル(煙突)の後ろ側の塗装。いしかりは青一色ですが、きそは白色に青い帯の塗装が後ろ側まで回っています。
ね?色違うっしょ?
ここでちょっと展望デッキを観察してみます。
「旅客脱出集合場所」とか書いてありますね。火災などで脱出しなければならなくなった場合ここから脱出シューターに乗り込むようです。そんな経験したくはないなぁ…
通常、展望デッキ出入口の扉はちょっとした段差が設けられているんですが、7デッキの一部の出入口はこのようにスロープになっています。バリアフリー対応の部屋を用意するだけでなく、船内にエレベーターを4基も備えるなど、新しい船だけあってバリアフリー対応は入念です。
お風呂に入ったりのんびりしているうちに、もう仙台が迫ってきました。次回は仙台で一時下船します。
【目次】
⑤茨城~福島沖 ←イマココ
*1:一度に2本出てくるやつです
【乗船記】太平洋フェリー「いしかり」名古屋~苫小牧1330kmの船旅④ 船体動揺
おはようございます。3月16日の朝になりました。
場所は千葉県沖です。
いい天気ですねぇ~!!!!!いい天気なんですが…
おわかりいただけただろうか。
水平線の位置が上下に動いている。
いや、水平線が動くわけない。船が揺れているのです。
この状況、まさに「天気晴朗なれども波高し」
そして、昨日懸念していた事が…
お風呂が閉鎖されましたぁ…あぁぁ……
日本一評価の高いフェリーである太平洋フェリー「いしかり」。現代のフェリーは、どの船も減揺装置を備えており、そんなに揺れないということになっています。
でも今乗ってる船はどったんばったん大騒ぎ揺れています。何故???
船酔いや荷崩れを引き起こす船の揺れには大きく2種類あります。船の前後方向を軸とした回転運動、つまり左右に傾く揺れと、船の左右方向を軸とした回転運動、つまり前後に傾く揺れです。それぞれ「ローリング」「ピッチング」と呼ばれています。
大きくなると転覆にも繋がることになるローリングを抑えるというのが減揺の基本です。ここで大活躍するのがフィン・スタビライザーという装置。これは船底の左右に突き出したヒレで、波を予測して動き、ローリングを抑えます。これのおかげで、航行中に船が左右に傾くのを乗客の我々が感じることはほとんどありません。
一方でピッチングは、そんなハイテクな方法ではなく、もっと原始的かつダイナミックな方法で対処します。「船の全長を、波の長さよりも長くしてしまえばいい。」というものです。このため、このフェリーは全長が制限ギリギリの199.9mになっているんです。しかし…
この日、晴れていて、低気圧は太平洋の沖、それなりに遠いところまで行っていました。陸の上に居る時は、こんな日はピクニックにいきたくなる感じだゾ!でしょうけど、海の上だと違ってきます。低気圧の中心付近で風によって作られた荒々しい風浪は、海の上を伝わっていくうちに減衰して、波長の長い「うねり」になります。これが曲者で、200m級の船では「うねり」には勝てません。激しいピッチングに見舞われます。
ピッチングを抑える画期的な減揺装置は開発されておらず、日本一のフェリーであっても、この揺れと付き合うしかないのです。巨大なタンカーだろうが空母だろうが豪華客船だろうが、揺れるときゃあ揺れるのです。揺れない船などない(現時点では)。まぁ、外洋じゃなくて瀬戸内海のような内海なら、波は穏やかでこんなに大揺れすることはありませんけどね。
船がゆっくり頭を空に向けた…と思ったら、頭を水面に突っ込んで大きな飛沫が上がります。これが延々と繰り返されます。
操舵室からの眺めが休憩スペースのモニターに映し出されています。ずっと見てると酔います。
いしかり売店に酔い止め薬は置かれていませんが、吐き気を抑えるドリンクならあります。揺れの激しい今日は片方売り切れてましたけど。横に置いてあるのはゲロ袋。
吐きそうな時は我慢せず吐いてスッキリしましょう。各トイレにはご覧のような嘔吐用便器も用意されています。陸ではあまり見かけないこれ、船の上だとわりとよく見かけるものです。
この揺れに対して私はどうしたかというと、二度寝を決め込みました。寝不足は船酔いの大敵です。それに、この船の仙台入港予定は1640。まだまだ時間がたっぷりあります。とりあえず揺れが収まるまで寝ているのが一番です。まぁ、結局、揺れは数時間後も収まらなくて、でも、あぁ…ってなってるうちにだんだん身体が揺れに慣れてきて、船酔いはしませんでした。
船旅はまだまだ続きますよ~。
【目次】
④船体動揺 ←イマココ
【乗船記】太平洋フェリー「いしかり」名古屋~苫小牧1330kmの船旅③ B寝台
長距離フェリーというのは、交通機関であり、また宿泊施設でもあります。
よく豪華寝台列車を「走るホテル」なんて形容したりしますが、走るホテルは船のほうが歴史が長いんです。
太平洋フェリーは、豪華客船などではなく、リーズナブルなカーフェリーです。しかし、内装は決して貧相なものではなく、旅行パンフレットに時々「豪華客船」とか紹介されているほどです。まぁ、接客に力入れててもトラック輸送が要なカーフェリーを豪華客船呼ばわりすることに関して疑問はありますけども。
特徴的ないしかりのエントランスホール。客室階の5~7デッキまで吹き抜けになっていて、展望エレベーターが鎮座している。
ロイヤルスイートルーム、スイートルーム、セミスイートルーム、特等客室(洋室・和室)、1等客室(和洋室・和室・洋室・バリアフリー)、S寝台、B寝台、2等船室と多種多様な客室が用意されているわけでございますが、安価に旅行したい我々が乗るのは、個室になってないS寝台、B寝台、2等船室のどれかでございます。
S寝台は、上下方向が窮屈じゃない1段ベッドで、中にテレビモニタが設置されていて、バリアフリー対応客室も備えるという、開放寝台にしてはグレードの高いものです。
2等船室というのは、いわゆる雑魚寝で、昔ながらの旅情を味わいたい人と、でっきるだけ安ぅーく乗りたいって人にとってはとても良い施設です。残念ながらそんなのを求めてる人は減っていて、新日本海フェリーでは廃止している船もあるんですが、太平洋フェリーでは少ないながら残してくれています。
私が今回選んだのは、B寝台です。こちら、2段ベッドなんですが、昔みたいに梯子を登る必要はありません。
一部屋14床です。女性専用室にはカードキーが付いていますが、それ以外の部屋に鍵はありません。
このように、上段と下段の入り口が互い違いになっていて、開放寝台でありながらそれなりにプライベート感を保てます。上段へ上がるのも梯子ではなく階段なので楽です。最近デビューした船はこれが流行っていて、新日本海フェリーのツーリストAなんかこれと全く同じ構造ですね。
奥の棚は荷物入れではありません。中には救命胴衣が入っています。
毛布と枕、ハンガーが備え付けられています。
寝台の中には小さな網棚と蛍光灯があります。蛍光灯のスイッチの横にはコンセントが1つ付いています。
この寝台の注意点として、シャッターカーテンを完全に降ろしてしまうと、寝台の中が暑くなってしまうというものがあります。少し隙間を空けて止めておくこともできるので、そうしましょう。
とても快適!とは言い難いですが、これで名古屋~苫小牧で6400円(※早割の半額運賃。基本のA期間運賃は12900円※)です。寝台のみの料金ではなくて、名古屋~苫小牧まで移動する金額が6400円ですよ?JRのB寝台と比較しちゃいけないような気もしますけど、比較しちゃうともうJRの寝台列車なんて乗る気失せますね。もう北海道行きの寝台列車絶滅した後ですけど。
いしかりのB寝台区画は5デッキの後方右舷で、レストランの真下です。この下では、船を動かすV型16気筒ディーゼルエンジンが唸っていますが、すごく気になるほどの振動・騒音はありませんでした。この船は客室設備が船体前部に多く配置されているのですが、私は前は嫌いです。揺れが大きいから。多少うるさくても後ろ側のほうがいいです。ちなみにB寝台区画の反対側、左舷はトラックドライバー専用区画になっていて、一般利用客は立ち入ることができません。フェリーの要はトラック航送なのだということをここでも実感します。
右舷なので、北行きの場合は陸と反対側になるため、室内に携帯電話の電波は来ず、左舷の休憩スペースへ行かないと携帯電話は使えませんでした。でもまぁそっちに行けば使えるというのは、外洋フェリーなのに凄いなぁってとこです。凄いのはフェリーじゃなくてdocomoのほうかもしれないですけど。
部屋に設置されているゴミ箱。Moerugomiってお前それ表記もうちょっとなんとかならんかったのかよMoerugomiって…
寝ていると、船がゆっくりと前へ後ろへシーソーのように傾く動きをはじめ、キシキシキシ…と軋む音も聞こえます。さぁ、これ明日はどんなことになるのかなぁ?
【目次】
③寝台 ←イマココ
【乗船記】太平洋フェリー「いしかり」名古屋~苫小牧1330kmの船旅② 一回目の夕食
船旅の楽しみといえば、やっぱり食事ですよね。
でも、寝不足と疲れと時化への不安から、さっぱり食欲が湧きません。
しかしここで何も食わないというのも後から辛くなります。なにか適当にお腹を満たしておいたほうがいいのです。
「いしかり」の船内レストラン「サントリーニ」は、バイキングスタイルで、夕食が2000円、朝・昼食は1000円です。
というわけで、このレストランに
入りません。
言ったじゃん食欲無いって。バイキングとか無理だから今日は。
ご安心ください。太平洋フェリーでは、バイキングレストランの他に、軽食スタンドがあります。いしかりでは「ヨットクラブ」という名前です。
ここの営業時間は名古屋→仙台だと1830~2130、0800~1000、1330~1515です。
カレーライス510円。カレーは船メシの基本です。どうしてフェリーで食うカレーとかカップ麺とかって旨いんだろう。
まぁ、きそ・いしかり に関しては、個室以外でのカップ麺飲食はご遠慮くださいと呼びかけられていて、カップ麺自販機も無いので、今回の船旅ではカップ麺は食べてないんですけども。
なおフェリーターミナルの近くにある某おもちゃのテーマパークと違って太平洋フェリーでは飲食物の持ち込みは制限されていません。持参したお弁当を広げている乗客も結構多かったですね。
また、この軽食スタンドに設置されている給茶機は、スタンド営業時間外でも自由に使うことができます。展望デッキで冷えたから温かいお茶を飲みたいだとか、夜中に喉が渇いて仕方ないから冷たい水を飲みたいだとか、そういう時にここに来ればいつでも無料で水・お茶が出てきます。これが非常に便利だった。何度もお世話になりました。
このスタンドはレストランより遅くまでやっているので、お酒を注文してここで駄弁っている人達も居ましたが、私は寝不足でそれどころじゃなくなってきたので、今日はもう寝ます。寝不足というのは、空腹よりも更に船酔いに対して危険な状態ですから、さっさと寝るのです。おやすみなさい。らうんじしょー?なにそれ(無関心)
【目次】
②夕食(一回目) ←イマココ
【乗船記】太平洋フェリー「いしかり」名古屋〜苫小牧1330kmの船旅① 乗船~出港
本州〜北海道の移動は、道路は存在しないので、新幹線に乗るか、飛行機に乗るか、船に乗るしかありません。
今回は往路は飛行機でしたが、復路は船を選びました。というか、船に乗りたいから旅行先を名古屋にした、と言ったほうが正しいような気もしてくる、太平洋フェリー乗船は今回の旅の最後にして最大のイベントなのです。
太平洋フェリーは、名鉄系のフェリー会社で、通常時、3隻の船で苫小牧~仙台を毎日、仙台~名古屋は隔日運航しています。船旅専門雑誌「クルーズ」の発表する「フェリー・オブ・ザ・イヤー」第一位を第一回からずーーっと受賞し続けている評価の高いフェリーなのであります。
今回乗る船は、太平洋フェリー3隻のうち最も新しい、6年前に就航した「いしかり」。
(この写真はセントレアから撮影した「いしかり」)
総トン数15762トン、全長199.9m、最大速力26.5ノット、旅客定員777名、乗用車搭載数100台。
就航以降ずっとフェリー・オブ・ザ・イヤー1位をキープしている、いわば現在日本一のフェリーです。
こんな素晴らしい船に乗れるなんて、テンションが上がるところですよね普通。しかし船を前にして私のテンションはかなり低い。何故なのか。
野跡駅前から市バスに乗ってフェリー埠頭に向かいます。
このルートで乗船するフェリーの徒歩客は私を含めて6人ほど。ツアーのバスや、自家用車で乗り込む客がほとんどで、名古屋駅のバスターミナルからフェリーターミナルまで直通のバスもあるので、このルートはマイナーのようです。
港に着いたら早速乗船手続きです。ネット予約で使ったクレジットカードを提示します。私は2ヶ月前に早割で予約していたので、B寝台が正規運賃の半額の6400円。6400円ですよ?名古屋から苫小牧まで2泊3日で6400円。安すぎじゃね?
すごぉくお得に優雅な船旅を楽しめる♪と心を弾ませて名古屋まで来たはずだったんですが、さっきからずっと風が強いし、太平洋上には低気圧があるし、なんだかちょっと不安になってきました。
そして案の定、窓口のお姉さんが申し訳なさそうな顔して「本日、船が揺れることがございます…」とか宣告をしてくる。あぁ、これは楽しいことになりそうだぞ(顔面蒼白)。
名古屋港に佇むいしかり。ここから苫小牧まで40時間ほどお世話になります。
もう乗船は開始していたので、とにかく乗ります。
フェリーと同じ塗装が施されたボーディングブリッジ。名古屋港を発着するフェリーは現在太平洋フェリーのみです。
船上から見た名港西大橋。
車が誘導に従って次々と船に乗り込んできます。
さて、時化が予想される時、船に乗ったらまず何をすべきか。
ずばり、風呂です。沖に出て船の揺れが激しくなると、安全のため浴場が閉鎖されることがあるのです。閉鎖されなくても、船の揺れに合わせてお湯があっちへこっちへ動き続ける浴槽なんて、あずましくありません*1。
太平洋フェリーの大浴場は、基本的に乗船から入港30分前までいつでも利用できます。料金はかかりません。なお前述の通り、船の揺れが激しい場合は閉鎖となります。
コイン返却式の貴重品ロッカー、ドライヤー、浴室内にはシャンプー・ボディーソープが備え付けられていて、船内でもそんなに狭さは感じない良い浴場です。なお、太平洋フェリーに限った話ではありませんが、特等や1等などの客室を利用しない寝台や雑魚寝の客には貸しタオルがあたりません。タオルは持参しましょう。
風呂に入り、さっぱりしたところで、時刻は19時。出港時刻を迎えました。
真っ暗になった名古屋港で、船は岸壁をゆっくり離れ、180度向きを変えて、ゆっくりと前へ進みはじめます。
名港西大橋をくぐりました!!!陸から眺めたり、上を通った時はすごく高く感じましたが、船で下を通過する時は「えっ!?ぶつかりそう!?」って低く思える不思議。いや、このフェリーがデカいんだわな。
夜空に煙を上げ名古屋港を出ていくいしかり
長い船旅なので、記事をいくつかに分割しようと思います。何記事になるかは未定です。それでは今回はここまで。よーそろー。
【追記】
本乗船記は、12記事に分割されました。読みたいとこから読んでって結構です。
①乗船~出港 ←イマココ
*1:「あずましい」は北海道の方言で、気分が落ち着いて心地良いという意味の形容詞
あおなみ線
「あおなみ線」こと名古屋臨海高速鉄道西名古屋港線は、東海道本線の貨物支線「西臨港貨物線」を全面改良して貨客両用路線にしたもので、名古屋~金城ふ頭の約15kmを結びます。
あおなみ線は全駅にホームドアが設置されています。
名古屋駅のあおなみ線ホームは、新幹線ホームに近い位置にあります。
(この写真は初日の新幹線ホームからの景色。ホームドアと波型の屋根がついたこれが、あおなみ線ホーム)
線路はあおなみ線の電車が運行しない反対方向にも伸びていて、これを辿っていくと枇杷島駅の城北線の線路に繋がっています。あおなみ線はそもそもは貨物線、城北線は貨物列車は走っていませんが貨物線として計画された線ということで、こんな形になっているのでしょう。
散々変わった電車に乗りまくったせいで、あおなみ線が本当に平凡な電車に感じる。ちょっと変わった点をあえて挙げるとするならば、途中駅に止まった時にすぐ隣に貨物駅があって貨車がガシャン!!とかギギギギとか言ってるのが間近で聞こえるってことくらい。
それから、「名古屋臨海高速鉄道」や「西名古屋港線」といった案内表記は全くと言っていいほど見られず、「あおなみ線」とだけ案内されているのが印象的でした。
終点の一つ手前、野跡駅で下車。
金城ふ頭方面へと、まだ新しい高架橋が、延々と伸びている様子がわかります。
奥に、とても高い位置に架かる斜張橋が見えますが、これは伊勢湾岸自動車道の名港中央大橋です。名港東大橋・名港西大橋と合わせて3つで「名港トリトン」と呼ばれています。実は昼にしれっとここの上を高速バスで通過してました。
(この写真は名港西大橋)
どうせホームドア付き鉄道だし良い写真なんて撮れないだろうと思っていたら、野跡のホーム端なかなか良スポットでした。
さて、これにて名古屋とその近辺の変わった鉄道を巡る旅は終了です。お疲れ様でした。
次回からは、ここから北海道までどうやって帰ってきたのか…をお伝えしていきます。ちなみに、もう鉄道は使いません。飛行機にも乗りません。ということは、アレしかないですね?